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間違ったドラムのmix処理のカタログ

いい音ってのを少しづつでもわかっていただくのを最近のテーマにしている江戸前ですが、今日は『音楽性とかmixアプローチとかセンスは色々あるけど、明らかにこれは音を悪くしているだけのドラムの処理』をご紹介していきます。(なんちゅう企画,,,)

標準的にいい音をまず聴いていただいた後に、8パターンのよくないDrumのmixをつなげてみました。まづはどうぞ。

1. 0:00 <プレーンないい音>

2. 0:21 <細くしょぼい音>

3. 0:42 <帯域が狭くなっちゃった音>

4. 1:04 <広がりがなく立体感がない音>

5. 1:25 <マキシマイズしすぎて厚みが無くなった音>

6. 1:46 <アタック成分が出過ぎで不自然な音>

7. 2:08 <アタック成分がなさすぎてノッペリした音>

8. 2:29 <サステインを切りすぎて不自然な音>

9. 2:51 <デジタル的に汚く音声スペックの悪い音>

10. 3:12 (再)プレーンないい音

さぁ1個1個解説していきましょう

1. これはNO EQでドラムのトータルにうっすらコンプを『まとまり感』を出すためだけにかけている音です。(単体にコンプはかけていません) ダイナミックで自然で、広がりもありオーディオ的にも『いい音〜〜〜』って感じだと思いますよ。どうすか??

2. 0:21 <細くしょぼい音> これは大きすぎるレコーディングスタジオで録った音に近いですね(単純に劣化しているだけの音)。とにかく細い、しょぼい。。。mixによってこうなってしまっているときは主に、『抜けを重視したくて』LOWやLOWMIDをカットしたというのが多いんではないでしょうか?しかし!じつは『抜け』というのはそういうことではないんですよ!なんで抜けさすのに細くすんねん!(笑)

3. 0:42 <帯域が狭くなっちゃった音> これもなんでかしりませんが、機材の根本的な品質の問題でしょうか、LOWエンドとHIエンドがなくなっている音。けどHIがないのをなんとかしようとして逆に痛い音になってますね。12kHzあたりをむりやり上げてもその上の帯域が存在しないなら、ただの痛い音でしかありません。こういう音は現代のドラムサウンドのメインストリームとも言える音です。一個前の2もとても多いですけど(笑) もちろん帯域の狭いかっこいい音というアプローチもありますよ。けどそれとは意味が違います。もしわざと古いレコードの音とかの感じを目指すならもっと思い切って帯域を狭くしないと全然ダメです。

4. 1:04 <広がりがなく立体感がない音> これもアプローチとして半端です。近い感じにしたいなら別の方法がありますし、単に各パーツの立体感を消してしまっただけのリアリティーのない打ち込み的な音。

5. 1:25 <マキシマイズしすぎて厚みが無くなった音> 迫力を出したくてとか、ドラムを前に出したくてとか、張り付き感が欲しくて等で、なぜかマキシマイザーをかけすぎた勘違いした音。そういう音にするためにマキシマイザーをかけるのは本当に間違ったアプローチです。ドラムには絶対(笑)。ただ、楽器によっては軽いマキシマイズは『効く』こともありますが。

6. 1:46 <アタック成分が出過ぎで不自然な音> あまりお目にかかりませんがたまにあります。これも抜けさせたいからやってしまうやつです。厚みのあるアレンジでのmix全体のなかで、kickやsnのアタックが欲しい場合にたしかにアッタクだけ上げる処理は重要になりますが、これはもう崩壊しています。しかし本来、アタック成分とは本来mixで作るもものではなく、楽器の選定とチューニングそして叩き方で決まります。

7. 2:08 <アタック成分がなさすぎてノッペリした音> これをわざわざやる人はいないかもしれませんが(笑)、2.と同じく広すぎるレコーディングスタジオで録音したものをいじくりまわすとこういうことになってしまう可能性があります。マイクケーブルを引き回しすぎるとアタックはどんどんなまっていきますし、位相がわるかったりするとこうなりますね。ま、あくまでもこのsample音は『mixで作ってます』が(笑)

8. 2:29 <サステインを切りすぎて不自然な音> これもやりがち。。。。抜けがほしいのですか?分離が欲しいのですか?アッタクですか?そうですか(笑)。こういう音にするなら楽器のチョイスとチューニングやミュートで作ってください。これではドラムの音が『崩壊しています』 ※ま、録音時に戻れなくてどうしてもこういう音が欲しいときはアリではありますが。あともう一点、この音色の短さですとこのグルーヴとリズムパターンに合わない感じがします。もうすこしリリースがあった方が。。。

9. 2:51 <デジタル的に汚く音声スペックの悪い音> もうこれはどうしてこうなるのか的な。。。。。単に機材が悪すぎたりクロックが悪かったり、pluginかけすぎだったり、色々ですが。これはどっからどう見てもいい音とはいえませんね(笑)

ま、Soundcloudのストリーミングでこういう解説してもなんか矛盾すら感じますけど。。。。

10. 3:12 (再) <プレーンないい音> あぁ、ほっとします。ダイナミックで艶もあり、生々しく立体的で抜けもいい。。。。

 

ところで気がついた方もいらっしゃるかもしれませんが、COMPを掛けて作った音は除外しています。COMPを掛けた音で失敗しているのも数多く見かけますよ、そりゃ無限に。しかし、COMPによる音色操作は好みや意図や音楽性、また他とのmixバランスによって正解不正解が非常に主観的なのでこれはダメ!と、決めつけるのは無理があるので除外しました。

で、世の中のDrumの音はさらにもっと悪い場合が多いです。ご紹介した音源、プレーン状態を聴くと分かりますが非常にチューニングがバッチリで叩いている人も非常にうまいです。よく楽器を鳴らしていますし。ほんとに悪い音のほとんどは、このmixのいろんなダメさに加えチューニングも楽器の状態も悪いことがほとんど。

こうしてみますと『いい音』ってどんなモノなのかわかって頂けたかは別にして、『いい音にするのは』難しいということだけはわかっていただけましたかね。。。。。。。

ドラムの音はmixの基準です。このように間違った音にしてしまうと他の楽器は『ドラムに合わせてゆく』ことになるので仕上がったmixは本当にひどくなりますので、注意してくださいね〜〜〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラムレコーディングにおける『位相』とは。。。。。。。

位相のズレは画像のブレと一緒。ズレているからダメというのではない。。。さて初詣はどこに行こうかなぁ。。。。。。。

位相のズレは画像のブレと一緒。ズレているからダメというのではない。。。さて初詣はどこに行こうかなぁ。。。。。。。

もう年の瀬。。。。。スタジオにおけるドラムレコーディングの『位相』について質問を受けましたので、細かく話を書いてみようと思います。

位相とはなにか。本来の単語の意味でいうとプラス・マイナスで形成される『物理波形』が『任意の瞬間どの数値を指しているか』ということです。


ベースギターの最低音のEは41Hz。つまり1秒間に弦が41回振動しているのですが、プラスとマイナスを1秒間に41回行き来してるわけです。振り幅が10と仮定したら1秒間の間に+10にある時もあれば-10の時もあるし、3や0や−7のときもあります。その今の瞬間幾つを指しているのかがいわば位相です。
それを波形に示すと重なっていたり平行にずれている見た目になるわけです。

位相がずれるというのは、マイクを二本を立てた時それぞれが指している数値がふさわしくない関係であるということです。mixはマイクの音をmixつまり加算することなので、ある音に対して一方のマイクが+10なのにもう一方のマイクがその瞬間-7であると音は3になってしまいます。つまり正しい音とはいいにくい状況ですね。

ただドラムレコーディングにおいて全てのマイク間の位相を完璧にすることは不可能です。クラスの全員がそれぞれ全員とまったく同じように良好に仲が良い状態なんてあり得ないのと一緒ですね(笑)

まずドラムレコーディングで位相を考える時『モノラル音像としての位相関係』『ステレオ音像としての位相関係』『単体の音としての位相(関係という文字はつかない)』この三つを切り離して考える必要があります。

まず『モノラル』のそれ。ドラムの場合主にキックとスネアの関係です。
キックの2本のマイクをミックスしたときに不自然に痩せたりしないか、キックとスネアそれぞれ両方の音を出した時に音色と音像(太さや実体感)が問題ないか。

そして『ステレオ』のそれ。タムのLRのパンニングが希望どうりの位置にあり音量もどれかがひっこんでいたり左右に極端に滲んで聞こえないか。
しかしタムは左右に程よく滲んでいるのが理想です。『点から』音が出ているわけではないですからね。左右に少し広がって位置しているのが理想です。(ドラム音源やエレドラのもっとも嘘くさいのはココです)その広がり感はtopのマイクをONにしたときに程よくなるようにしましょう。
タムのどれかの音像がおかしいなら、そのタムだけtopへの被り方のバランスが変であるということです。LRのtopマイクからみたらどのタムからの被りもほぼ一定であるのがいいといえます。

また、topマイクにはタム類のLOWをあまり入れないようにするのがコツです。
※ヒント : topマイクはシンバルだけを狙っているわけではなく、そのほかの太鼓類の『艶成分』を担っているのです。(重要)

topマイクは直接的にタムを狙わない位置に立っていれば『充分』であるということなんですよ。なぜならONにも立てているでしょう?。

それと最後の『単体位相』。ドラムレコーディングにおいてキックは正位相でそれ以外は逆位相です。キックだけ反打面側にマイクがありますので音の出だしの瞬間にマイクが+に振れるのです。他は打面に向けますから-から始まります。
ぶっちゃけキック以外も+なら理想かもしれませんが、低域を担うキック以外ではほとんど関係ないと言えます。(ホントはあるんだけどwww)

位相のズレは低域ほど顕著ですし音像に対しての影響も大きい。バスドラは『ドンドン!』と『グイグイ響いてくる』のが理想ですが、バスドラだけを逆位相で出して聞いてみてください。気持ち悪いですよ。一瞬引っ込みますからね。音の迫力的なモノが引っ込んで聞こえるはずです。

それと逆位相のバスドラはベースとのアンサンブルも壊しかねません。ベースがグイグイきて『プッシュ感』を出しているのに、同じ音域にいるバスドラのアタックが逆位相で打ち消しにかかってくるとどうなりますか???『ドーンパンドーンパン』のドーンに『圧』がなくなってしまいますよね〜〜〜!
(この問題は一番難しい話です、だってベースが正位相で出ている保障がないからwwwwwwここを書き出すと終わらない)

なので、まずはこの3つの位相について理解するように心がけてください。

具体的なアドバイスとしては、topマイクをオンにしたときに全ての太鼓が痩せないということが最重要です。そのtopマイクを立てるべき場所はどこなのか、それはドラマーによってセッティングが全部ちがうので、正解は全部違います。経験でしかわかりません。


ただ一つ具体的なアドバイスはというと、
『topマイクに太鼓を入れすぎないように』

これしかありませんよ!