シンバルサウンドの音楽全体における重要性の高さについて
ドラマーのみなさんはある程度経験を積んで来ますと行き着くところはシンバルといいます。
ほかのスネアなどの皮モノはチューニングやヘッドの交換によってサウンドをある程度変えることができます。スナッピーやラグなどのパーツしかり。
それに対しシンバルは磨くくらいしかないわけです。( 庭に埋めるとか?(笑))
なのでそのチョイスがとても大切になってきてまさに沼、なわけですが。
ところがそのシンバル。もちろんその個体差種類差は大きい問題ですが、やはり楽器たるものなによりもその演奏者の音というのが露骨に出る楽器です。
どんな楽器でもその奏者の音になるのは当然ですが、シンバルには特にそれを感じます。それはおそらくパーツの集合体の皮モノとは違い、金属の単体であるからなのではないでしょうか?
また叩いた瞬間の変形も大きいのもあると思います。
レコーディングを沢山していますと、シンバルの音が「汚い」プレイヤーに多く出会います。
何故汚くなるのかの細かい奏法的なことの解説は他に譲りますが、おそらく振動が飽和しているのだと思います。(振動の飽和はどんな楽器でもありうる。)
数多い楽器の中でもシンバルはその飽和のラインがとても低い気がするんですね。また難聴気味の人が多いドラマーさんたち、特に意識しないとどうしてもぶっ叩きがちになると。
ではその飽和した音の状態とはなにか?それは「歪みの表出」です。
「歪み」とはギターアンプやエフェクターには大事な要素ですが、シンバルにおけるそれは物理的に説明するのは困難ですけどとにかく「汚く」「耳触り」な成分が突出してきます。歪みには美しいものと美しくないものがある。
しかもその歪みはレコーディングでのコンプ処理や音圧上げ処理でもっとも顕著に「引っかかってくる」成分なのです。
また、データ圧縮したときにも大きく引っかかってきます。( シュワシュワーっ て)
しかもそもそもその「汚い歪み成分」は音響機器やデジタル音声処理の「汚い歪み成分」とかなりそっくりなのがとてもやっかい。
つまり、どんなにピュアに丁寧にレコーディングしてもそもそもシンバルの音が汚ければ全て台無しになってしまいます。しかもシンバルのせいではなく音響機器のせい?エンジニア下手??みたいに聴こえてくる。
シンバルはリリースも長くライドなどは常に「シャーっ」て鳴り続けたりしてますから、アイスクリームに抹茶パウダーを満遍なく振りかけたような、窓に薄い汚いレースのカーテンを掛けたような作用を音にもたらしてしまうのです。(抹茶は美味いけど)
どんな楽器にも上から漠然とした感じで汚い歪みを被せてくるような状態。
そんな風にシンバルの音が汚いと音楽全体の音が汚くなったような印象になるのです。
例えば、ドラムセットのサウンドだけをとってみてもシンバルのチョイスで皮の鳴り感が変化したり、セット全体の音の重心が上がったり下がったりするような経験をしたことがある人も多いと思いますが、それがさらに楽曲全体の音の仕上がりに影響してくるのです。
ロックの特に音圧の高いような楽曲で「音が汚いなーっ」って思うものを良く聴いてみて下さい。まずはシンバルが汚い。
それはもしかしたら機材やミックスで汚くなったのもあるかもしれませんが、そもそも叩き方の悪いシンバルの歪みがそう聴かせてるのかもしれません。
ドラムサウンド、いや、バンドサウンド全体を見直すときは是非シンバルのサウンドや叩き方に注目してみて下さい。ドラマーさんだけでなくバンドみんなで。。。
一番高い音域にホワイトノイズが乗ってしまってるような音になってませんか?ぃ?